僕は、財布に入っていたお金を全て使ってタクシー代を払った。
ゆっくりと、タクシーが出発する。
見送った後、僕は呟いた。
「行こうか…」
手を握り、僕等は歩き出す。
…季節が季節だからか、客はちっともいなかった。
僕等はゆっくりと、丘を登っていった。
不思議と、心は落ち着いていた。
きっと、明日可も。
2人の足が自然と止まる。
手を握ったまま、前を見つめる。
…僕等の住む街。
…みんなが、生きてる街。
現実の世界が、一望できた。
それは、とても綺麗だった。
「…座る?」
僕等は、ベンチに腰掛けた。
2人共、何も言わない。
手を握ったまま、街を見下ろしたまま、時間だけが流れていく。



