僕は視線をそらす。
…見られたくなかった。
これは、僕の弱さの象徴だ。
明日可にだけは、見られたくなかった。
…ふいに、腕に滴を感じた。
ゆっくりと、視線を戻す。
穴が開くほど僕の腕を見つめながら、明日可の表情は歪んでいた。
大きな瞳から、とめどなく涙がこぼれ落ちる。
「…明日可?」
僕はもう片方の手で明日可の肩を掴んだ。
僕の腕に顔をうずめ、声をあげずに泣く明日可。
細い肩が、細かく震える。
「…シュウ…」
消え入りそうな明日可の声を、僕は聞き逃さなかった。
明日可の顔を覗き込む。
僕の腕に顔をうずめたまま、明日可ははっきりと、呟いた。
「もう死にたい…」
…聞き逃さなかった。
聞き逃すわけがなかった。
明日可の、心からの叫びを。



