「俺は…明日可を逃げ場に使う様な男です。最低な奴なんです。自分の事すらちゃんとできない…どうしようもない奴なんです…」
僕が明日可を支えるなんて、笑止千万だ。
そんな僕に、誠さんは優しく声をかけた。
「…それじゃ、駄目なのかな」
予想外の言葉に、思わず顔を上げる。
「きっと明日可も、君を逃げ場に使ってるよ。今、2人ともがお互いを逃げ場にしてるんだ。僕はね、それが悪いことだとは思わない」
くいっとコーヒーを飲み干して、彼は続けた。
「ただ、ずっとそのままじゃ駄目だ。お互いを思いやってるのなら、逃げ場のままにしてちゃ駄目なんだ。…お互いを、支え合う場所に変えなきゃだめだ」
真剣な誠さんの表情が、ふぬけな僕の顔を見つめる。
「…明日可にも、言えることなんだけどね」
ははっと悲しそうに笑った彼は、「先に行くよ」と言い残してその場を立った。
彼が立つと、その背の後ろから、沈みかけた太陽が顔を出した。
…誠さんの言葉をあの太陽に言われてる気がして、僕は思わず目を逸らす。
…支えあえる場なんて、僕には見えない。



