コスモス


僕は入り口に呆然と立ち尽くす。

床に散らばった食器とお粥。
多分、おばさんが明日可のために作ったものだ。

ベッドの周りでは、看護師さんとおばさんが必死に明日可をなだめていた。

…ベッドの上で、取り乱す明日可。
断末魔の様な叫び声が、部屋中に響く。


「いやだぁっ!誰もかまわないでっ!もう何も食べたくないっ!何もいらないっ!みんな消えてしまえばいいのっ!」


…耳を、塞いでしまいたかった。

これは、明日可の外側の声なのか?
内側の、声なのか…?


ふいに、明日可の表情が凍った。



「…明日可?」


おばさんがゆっくりと明日可の肩を持つ。
明日可はその手を振り払わない。

…徐々に、呼吸が荒くなっていく。

「早くっ!斎藤先生をっ!」

看護師さんが、叫ぶ。
明日可の顔が、苦痛に歪んでいった。



…発作が、起こったんだ。



「お、お母さ…っ」
「大丈夫、大丈夫よ」

おばさんの胸に子供の様に抱きつく明日可。

「や…苦し…っ、たす…」
「先生いらっしゃいました!」