コスモス



……………

次の日も僕は、当たり前の様に学校をサボった。
もう、それが普通になっている。
すれ違う学生達が制服を着ていることが、僕にとっては普通じゃなかった。

今日も歩いて病院へ向かう。
最近、自転車には乗っていなかった。
時間がありすぎるから、急ぐ必要がないのだ。


…柔らかな、春の日差し。
もう5月も半ばだろうか。
日にち感覚が無くなっている。

それも僕には必要のないことだった。




病院に近付く。

近付く度に、現実が遠くなる。

エレベーターの扉が、違う世界への入り口に感じていた。


…ゆっくりと、上へ上がる。


扉が開く。




…瞬間、大きな物音と、悲痛な叫び声が聞こえた。


「いやぁっ!ほっといてっ!」


廊下の端まで響く、明日可の叫び声。



…一気に現実に引き戻された。



走って病室へ向かう。
病室の中には、3人の看護師さんと明日可のおばさん。

「明日可ちゃん、落ち着いて」
「先生呼んできてっ!」
「明日可っ、もういいからっ」


…その声は、明日可に届いてはいなかった。