…彼女が見えなくなると、僕も自転車をまたぎ、力強くペダルを踏んだ。


コスモス畑を揺らす風が、僕の紅潮した頬を冷やす。


今なら何でもできそうな気がした。

このまま空までペダルをこいでやろうか。


びっくりするほど速いスピードで、コスモス畑の畦道を通り抜ける。


「よっしゃあっ!」


僕は、空に向かって、大声で叫んだ。


僕の声は、高い青空にいとも簡単に吸い込まれていった。