「あら、シュウ君また来てるのね」
看護師さんが、病室に入ってくる。
「…こんにちは」
「駄目じゃない、ちゃんと学校にも行かないと」
そう言いながら、明日可に体温計を渡す。
「…別に、いいんです」
熱を計る明日可を見ながら、僕は呟いた。
…もう学校にも、意味があるようには思えなかった。
行ったところで、何になる?
目標もない、やる気もない。
行ったところで、明日可もいない。
もう、どうでもよかった。
ピピピッと、電子音が鳴り響く。
看護師さんは、明日可から体温計を受け取り記録を残す。
「うん、大丈夫ね。じゃあ、何かあったら呼びなさいね」
看護師さんが廊下を行く音が聞こえた。
彼女は、僕等について深く聞いてこない。
それが、ありがたかった。
…誰も何も言ってこない、2人だけの世界に行きたかった。
昼下がりのこの病室の様に、何も考えなくてすむような。



