コスモス



……………

「シュウ、今日学校は?」
「…サボった」
「…そう」

しまわれ忘れたこいのぼりが、病室の窓から見えた。

ゆらゆらゆらゆら。

同じ場所をただ揺れるだけ。

僕等は黙って、そのこいのぼりを見つめる。



…季節は5月。

暖かな春の風が、病室に迷い込む。


…明日可が取り乱したあの日の後も、僕は毎日病室に通っていた。

ただ、通うだけ。
特に、何を話すわけでもない。
以前の様に、明日可の体調を気にかける言葉すら発しない。

2人でただ、窓の外を眺めていた。


意味のないことかもしれない。
でも僕には、そうは思えなかった。


…意味のあることが、何なのかがわからないからだ。


今僕は、全てに意味を見いだせないでいる。


明日可の病室に通うことだけが、『僕』の意味だった。