コスモス



…悲しいのではなくて、つらいのでもなくて、単純に、ショックを受けた。


『壊れもの』


騒ぎを聞きつけた看護師さんが2、3人駆け込んでくる。

「どうしたの!?」

呆然とする僕をよそに、看護師さんは明日可の元へ駆け寄った。

「いやだっ!来ないでっ!みんな帰ってっ!」

頭を抱えて取り乱す明日可。

「明日可ちゃーん、大丈夫よ、落ち着いてー」
「先生呼んできます!」

一気に慌ただしくなる病室。
1人、取り残される僕。


「ごめんねシュウ君、今日は帰ってもらえる?」

看護師さんが、僕に話しかける。
以前明日可が入院していた時にお世話になった看護師さんだ。

「明日可ちゃんは大丈夫だからね」

僕をのぞき込む様に優しく声をかける彼女。
多分僕は、泣きそうな顔をしていたんだと思う。


…冷静になれない頭のまま、僕は病室を後にした。
入れ違いに斉藤先生とすれ違った。

明日可の叫び声が、背中を刺す。



…斉藤先生のなだめる声が、廊下に優しく響いた。