コスモス



……………

重い気持ちのまま、病室の前に立つ。
上の空だった学校の帰り、約束通り病院へ寄った。
ノックをする手が微かに震える。

…明日可は、まだ昨日のままだろうか。

勇気を振り絞り、ドアを叩く。


「はい」


今日は、明日可の声だった。
ゆっくりとドアを開ける。
ベッドの方に視線を向けることができず、僕は白い床を見つめたままだった。


「あっ、シュウ!」


…ほんとにそれは、予想外の声だった。
ゆっくりと顔を上げる。

ベッドに腰掛ける明日可。
プリーツスカートに春色のカットソー。
髪は綺麗にセットされている。

僕は、ここが病室だということを一瞬忘れた。


「もうおっそいよー。せっかくオシャレして待ってたのにさ!」

久しぶりに見るふくれっ面の明日可。

「あ…わりぃ…」

混乱した頭のまま、僕は頭をかきながら答えた。


…昨日の明日可が、嘘のようだった。


「ほら、座りなよ」

明日可がガタンと椅子を引く。
僕はそこに腰掛けた。

…一瞬、明日可と目があった。