コスモス


……………

「あれ、修平今日早いじゃん」

家のドアを開けると、今から出かけようとしている姉貴とばったり会った。

「そう?…つか姉ちゃん今からでかけんの?」
「うん、雅が用事終わったみたいだから飲み行ってくる」

ヒールの高いミュールを履きながら、姉、英里子は答えた。

肩より少し長い髪は、明日可とは違う人為的な茶色。
黒いデニムに白のジャケットがよく映える。

最近はもう落ち着いたが、姉がまだ制服を着ていた頃はミニスカにルーズ、いわゆるギャルを極めていた。
それでも頭と要領だけはいい姉に対し、僕は密かなコンプレックスを抱えていた。

決して仲が悪いわけではないのだけれど…。


「ちょうどよかった!駅まで送ってよ」
「は?」

さもそれが当たり前かのように言ってくる姉貴。

「こんな綺麗なお姉様が夜道1人で歩けるわけないでしょ?チャリで我慢してあげるんだから。も~早く免許とれる年になりなさいよね」

ぶつぶつ言いながら、颯爽と自転車に向かって歩く。

…ほんとになんで、こんなに自由に生きれるんだよ。

はぁ…とため息をつき、しまったばかりの自転車の鍵を探った。