「なんか…明日可、痩せた?」
「そうかな」
「うん、なんか…」
…ほんとに、痩せた。
僕が病室に入って驚いたのは、それだった。
確かに明日可は元々細かったけど、不健康な細さではなかった。
今の明日可は、細いというより…
本当に、痩せた。
パジャマから伸びる白い腕には、点滴の針が刺さっている。
今の明日可には、それが本当に痛々しい。
僕は腕から視線をはがし、明日可に向かって言った。
「なんで…教えてくれなかったの?」
一瞬沈黙が流れるが、すぐに明日可の声がそれを破る。
「…言わなきゃいけなかった?」
小さな、消えてしまいそうな声。
「いけないっつーか…。約束したじゃん。隠し事はやめようって」
明日可の言葉に戸惑いながらも、僕は言った。
「それは、2人のことでしょ?これは、あたしのことだもん」
「明日可のことは、2人のことじゃないの?」
明日可を見つめる。
相変わらず、一点を見つめたままの明日可。
…わかってる。
今日の明日可は、いつもと違う。



