「シュウ…」
明日可の声が、病室に響く。
2人の、目が合う。
「明日可ちゃんのお友達?」
機材をカチャカチャとしまいながら、看護士さんが言った。
「あ…はい…」
片付け終わり、僕の横を通り抜ける看護士さんを横目で見ながら、僕は答えた。
「そう、よかったじゃない明日可ちゃん。それじゃあ、また検温の時間に来るわね」
入り口のところに笑顔を残し、彼女は病室を後にした。
…病室に残る、2人の沈黙。
「あ…久しぶり、だな」
戸惑いながらもベッドの横の椅子を引く。
「…だね」
ベッドの真ん中を見つめたまま、明日可は呟いた。
…再び訪れる沈黙。
その圧力に耐えられず、なるべく明るい声で僕は言った。
「…ミキに聞いたんだ。もう、びびらせんなよな!入院してるなんてさ、全然…」
明るく言おうとしても、話題が話題だけに言葉が詰まる。
黙ったままの、明日可。
その横顔を見つめながら、僕は呟いた。



