いつだったか、明日可が言ってた。
病気が発覚し、自暴自棄になってた明日可に、ミキはひたすら明るい話題を話し続けた。
…これがミキなりの、明日可の守り方なんだ。
じゃあ…僕は?
僕は、どうすればいい?
…考えても埒があかず、僕の足は病院へと向かっていた。
それしか、僕には思いつかなかったんだ。
…病室の前にたつ。
札には、『瀬堂明日可』の文字。
深く深呼吸をして、ドアを叩いた。
「はい?」
中からした声は、明日可のものではなかった。
一瞬戸惑うが、僕はゆっくりとドアを開ける。
…中にいたのは、看護師さんだった。
彼女の前にあるパイプ式のベッド。
白衣越しに見える、見慣れた薄茶色の髪。
…体を半分起こした状態で、明日可はいた。
僕と目が合い、一瞬驚いた表情を見せる。
…それは多分、僕も同じだった。



