コスモス



「そんな時は、須川君が救ってあげて。須川君が…連れ戻してあげて。それができるのは…須川君だけだと思うから」


…いつだったか、ミキが僕に言った。

『明日可のこと、よろしくね』

あの言葉の本当の意味が、今ようやくわかった様な気がした。


「うん…」


相変わらず、僕はその一言しか言えなかった。
それでも…。

それでもその一言に込めた想いは、昔のそれとは違っていた。


「…じゃあ、また明日ね」

ミキはそう言うと、家へと向かって歩き出した。

その背中を見つめながら、僕は思わず叫んだ。


「…ミキにもできるから!」


驚いたミキが振り返る。


「ミキにも…ミキにもできるよ!明日可を救うこと…きっとできる!ミキにしかできない事、絶対あるから!」


本当に、そう思った。

今日の2人を見て、本当にそう思ったんだ。

僕には入り込めない、2人の絆。


『大切な存在』


明日可の言葉が、脳裏に浮かんだ。


…そうなんだ。

明日可にとってミキは、ミキにとって明日可は、誰にも変えられない大切な存在なんだ。