「…何言ってるの?そんなわけないじゃん?須川君は明日可のことが…」
「うん、わかってる」
ミキの言葉を制して、明日可は続けた。
「わかってるよ。シュウはあたしのことが好きだってわかってる。でも…あたしといたって、幸せになんかなれない」
…目の前が暗くなる。
幸せになんかなれない…。
明日可の声が耳に響いた。
「だってそうでしょ?ミキは可愛いし、性格だっていいし、シュウと気だってあってるし、ミキは…病気だって、持ってない」
明日可の声が、高ぶるのがわかった。
「…知ってるでしょ?あたしの生存率、知ってるんでしょ?いつまで生きれるかわかんないんだよ?いつ死ぬか…いつ死ぬかわかんないんだよ!?こんないついなくなっちゃうかわかんない彼女なんかより、ミキの方がずっと…」
―パチンッ
部屋に、乾いた音が響いた。
僕は状況を理解するのに、時間がかかった。
立ち上がったミキ。
頬を押さえる明日可。
呆然とした僕。
…明日可の頬を打ったのは、ミキの小さな手だった。



