コスモス


「いいよ、またかけるし」
『ごめんね、じゃあまたね』

電話を切ろうとした僕の耳に、明日可の声が響いた。


『今年もよろしくね』


…今年もよろしく。

今年だけじゃない、来年も再来年も、ずっとずっとだ。

そう言いたかったが、そこは少し我慢して言った。


「うん、よろしくな」


明日可との電話を切り、人混みの石段を降りていく。

願い事。
僕の願い事。

言った通りだ。


明日可と、ずっと一緒にいれますように。

来年も、再来年も、ずっと…永遠に。


…石段の下で、カズ達が待っていた。
人混みを掻き分けながら、石段を駆け下りる。


新しい一年が始まった。














…この時の僕は、まだ何も知らない。

簡単に願った『永遠』。

その意味を、僕はまだ知らない。


今はもう、永遠なんか願わない。

願うのは、あの日の約束だけ。

あの日の約束がまだ、続いてることだけ。





それだけを僕は


願う。