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僕等はあの日、そのまましばらく抱き合っていた。
明日可の体温。
明日可の鼓動。
全てを独り占めしたくて、しょうがなかった。
…数日後、僕は約束通り明日可のピアスをあけてやった。
自分の耳を不思議そうに見つめながら、「ちょっと大人になった気分」と満足そうに明日可は呟いた。
そう、僕等は少しずつ、大人に近づいていた。
変わらない様で、少しずつ変わっていく。
過去はやがて、思い出へと変わっていく。
それだけは嫌で、思い出になんかしたくなくて、僕は今日も小さく口ずさむ。
あの日2人で聞いた、オルゴールの曲を。
…なぁ、明日可。
僕はもう、明日可を独り占めしたいなんて思わない。
そんな贅沢望まない。
だけど、せめて、せめてもう一度だけ…
君を、抱きしめたい。



