コスモス


「横のネジ回してみ?」

僕は明日可に近づいて、小さなネジを指した。
明日可の細い指が、小さなネジをキュッと回す。
小さく綺麗なメロディーが、明日可の部屋を満たした。

「これ…ドリカム?」
「うん。未来予想図Ⅱ」

2人で小さなメロディーに聞き入る。

明日可が、そっと歌い出す。

僕は微動だにせず、明日可の消えそうな歌声を聞いていた。

「…真ん中のこれ、スズラン?」

曲が止まると、明日可はくまの間を指差して言った。

「うん。多分、スズランじゃないかな」

明日可の指の先を見つめて、僕も言った。

「スズランの花言葉って知ってる?」

唐突な、明日可の質問。

「や…知らない。何なの?」

何かいい意味でもあるのかな…。





「…あたしも知らない」

たっぷりとためた後、明日可はひひっと笑いながら言った。

「なんだよそれっ」
「あははっ」

じゃれあう様に僕等は笑った。

なんだか2人でこんなに笑うのは、久しぶりな気がした。

幸福な気分が、胸を少しずつ満たしていく。