一瞬、動きが止まる僕。

「学校で会っても、全然しゃべんないし…っていうかそれ以前に、全然学校で会わなかったし」

…当たり前だ。

僕が避けていたから。


明日可は旅行後、学校に復帰した。
もちろん凄く嬉しかったし、帰りは一緒だったが、学校ではなるべく会わない様にしていた。

正確に言うと、避けていたのは明日可じゃないんだが…。


とにかく僕は、ひたすら今日の終業式まで避け続けた。

…ミキを、避け続けた。

「…そう…?そういやあんま会わなかったよな。俺、追試の勉強必死だったしな」

誤魔化すために笑い、クッキーをもう一枚ほおばる。

「あ、そっか、追試!追試どうだったの?」

話題が変わったことに、ほっと胸をなでおろす。

「おう、全部クリア。やればできる子だから」
「じゃあ始めっからちゃんと勉強すればいいのに」

クスクスと明日可が笑う。

明日可の笑顔が、今は胸に苦しい。

僕は軽く手のひらをつねった。


…今日は、明日可だけ。

今日の僕の全ては、明日可。

明日可のことしか、考えない。