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「雪、やっぱり降らないみたいだね」
窓の外を見ながら、明日可が呟いた。
「ホワイトクリスマスにはならないか…。残念」
ココアを少し飲みながら、小さなため息をつく明日可。
僕も明日可のおばさんが入れてくれたココアを一口飲む。
あったかく甘い味が口の中に広がる。
クリスマスイブ、明日可がクッキーとケーキを焼いてくれるということで、僕等は明日可の家で過ごすことにした。
テーブルには、クッキーがかわいらしいお皿に整列している。
「あ、でも、北海道では雪降ったんでしょ?カズ君が言ってた」
何気ない言葉。でもそのキーワードが、僕の記憶を呼び覚ました。
北海道。雪。
「いいなぁ。北海道の雪はやっぱり違ったでしょ?凄い綺麗そ…」
「そんな、変わんないよ」
明日可の言葉を遮る僕。
「…全然…こっちの雪と変わんないよ。普通だった」
「…ふぅん。そっか」
…今の、ちょっと不自然だったかな。
ばつが悪くなり、明日可の焼いてくれたクッキーに手を伸ばす。
そんな僕に気付いてか、ふいに明日可が口を開いた。
「…シュウさぁ、何か…最近変じゃない?」