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浮き足立つ行き交う人々。

店々から流れる定番のクリスマスソング。

ライトアップされた街を、大きな荷物を提げて歩くカップルや家族連れ。


…12月24日。

街はクリスマス一色だ。


そんな人々の中に、1人浮かない顔で歩く僕。

あの日から、ずっと頭について離れないこと。

…あの、修学旅行最後の日から。


ポッケに手を突っ込んで、軽く頭をふる。
時計を見ると、針は7時を指していた。

今日だけは。
今日だけは全て忘れる。

今日だけは…明日可のことだけ考える。


何日も前からそう決めていたが、ライトアップされた街があの日の景色を連想させる。

僕は、全てを振り切る様にヘッドホンをかぶった。

あえて明るくうるさい曲を聞く。


…考えない。

今日は、今日だけは、僕の中には明日可だけ。

明日可のことだけ考えるんだ。

逃げるのは、僕の得意分野じゃないか。


街を歩きながら、僕は自分に何度もそう言い聞かせていた。


…明日可の家に行くまで、あと一時間。