ゴツンと、頭を窓にぶつける。
下唇を噛みしめて、固く目をつむった。
あのキスは、ミキの想い。
自意識過剰なんかじゃない。
…ミキは、僕のことが好きなんだ。
「…バカか、俺は」
気付かなかった自分に腹が立つ。
何で気付かなかった?
サインは、いくつもあったんじゃないのか?
僕はそれを、全て見逃していたんじゃないのか?
…ミキはどんな気持ちで、僕の話を聞いていたんだろう。
どんな気持ちで…。
…帰りの飛行機で、僕は一度もデジカメのシャッターを押せなかった。
深い罪悪感と自己嫌悪を乗せたまま、飛行機は僕たちの街へと向かう。
僕はようやく、歯車の存在に気付いていた。
止めることのできない、僕たちの歯車を。
冬の真っ只中で、この冬は終わらないんじゃないかと不安になった。
どこまで行っても、雪景色だった北海道。
…抜けることのできない、白い世界。