……………

「おっせーよ修!」
「ギリギリじゃん。何してたの?」

バスに乗り込んだ僕に向かって、座席から乗り出したカズ達が声をかけた。

「ああ…」

ぼんやりとした返事をし、僕はカズの隣の座席に腰を沈めた。

何も、考えられない。

「…どうした?何かあった?」

カズが、そんな僕をのぞき込んで聞いてきた。

「いや…ちょっと疲れただけ」
「そう?」

エンジンの音が響き、バスが動き始めた。
空港へ向かって走り出す。

「カズ~修~!UNOしようぜ、UNO!」

バスの一番後ろで、誠二達が呼んでいた。

「修平どうする?」
「…俺はいいや。ちょっと寝る」

そっか、返事をし、カズは気にしながらも誠二達の方へ行った。

正直、今は1人でいたかったから助かった。

窓の外を見ながら、さっきの出来事を思い出す。


…触れていたよな?

ミキの唇が、俺のそれに。

ミキは俺に、キス…したんだよな?


確認するように、自分に聞く。

否定したいが、しようがない。