「あ…」
呟いたのは、どっちだっただろう。
「…雪」
まるで白い桜の花びらの様に、軽やかに舞う雪。
イルミネーションの光が、雪の結晶を浮かび上がらせる。
「…北海道の雪は違うな。」
空を見上げながら、僕は呟いた。
「…うん。凄い幻想的」
きっと、ミキも空を見上げていただろう。
しばらく2人は空から降る雪に酔いしれていた。
シャッターを押した後、僕はふと思い出した様にポッケに手を突っ込んだ。
「ん」
出した手を、そのままミキの前に差し出す。
手のひらには、小さな包みが乗っていた。
「…何?」
「付き合ってくれたお礼」
そっとそれを手に取り、包みを開けるミキ。
「…これ…」
それは、ミキが始めに見ていたうさぎのぬいぐるみのストラップバージョンだった。
「さすがにストラップはオルゴールにはなってないけどな。ミキのイメージにあってたから」
ははっと笑いながら僕は言った。
そのうさぎは、スキーの時のミキのイメージにぴったりだった。



