コスモス


キーホルダーにありがちのゴールドに輝くそれ。

小さな土台の横にはもっと小さなネジがついており、きちんとオルゴールになっている。

その土台の上にちょこんと座る、二匹のこぐま。
間には、一輪のスズランが揺れている。

僕は、思わずそれを手にとった。

ゆっくりとネジを回す。

手を離すと、微かな音楽が流れてきた。

…DREAMS COME TRUEの、未来予想図Ⅱ。

単調な音だけど、それが心に響く。
ゆっくりと流れるその曲に合わせて、土台がぎこちなく回る。

僕は、しばらくその小さな夢の世界に入り込んでしまっていた。



「…それにするの?」

ミキの声で、はっとして我に返る。

いつからいたのか、ミキは僕の手のひらに乗るそれを見つめていた。

「…うん。なんか…いいなって思って」

なんてことないキーホルダー。
でもこの小さな世界が、あの日の僕と明日可とコスモス畑に重なっていた。

僕等の小さな宇宙。

まるでそれを形にしたようだと思ったんだ。