「こういうとこってさ…男一人じゃ入りづらいじゃん。」
ふふっと笑いながら、ミキは言った。
「…明日可へのプレゼント?」
マフラーで顔を半分埋めながら、僕は小さく頷いた。
赤くなった顔に、北海道の風は心地いい。
「じゃ、入ろっか」
ミキを先頭に、僕たちはオルゴール館へと足を踏み入れた。
…中は、可愛らしいオルゴールの音色が響いていた。
ぬいぐるみが音に合わせてゆれている。
「あは、かわいい」
ミキははしゃぎながら、ぬいぐるみを眺めていた。
やっぱり女の子だな。
そんなミキを見ながら、僕は微笑ましい気分になった。
店内をゆっくり見て回る。
僕の目に、小さなくまのぬいぐるみが止まった。
後ろのネジを回すと、手を上下に動かしながら歌う。
ぎこちない動きが微笑ましい。
ふと横に視線をずらすと、キーホルダーの棚があった。
それは、その棚の端にぶら下がっていた。



