「じゃあ俺らあっちの店いってくるわ」
「タケの母ちゃんがあの店のチョコじゃないと嫌らしいからさ~」
「あははっ!そりゃまた親孝行で」
タケとカズはそう言いながら、反対側の通りへ出ていった。誠二はチカちゃんへのお土産を探す旅にでている。
残されたのは、僕とミキだけだった。
「…さてと。ミキどっか行きたいとこある?」
マフラーを口元まで引き上げながら、僕は聞いた。
「え?ううん、特に…」
顔の前で大げさに手を振るミキを見て、僕もよく同じようなことを、明日可に対してしていたと懐かしくなる。
ふっと微笑んで、僕は言った。
「そんじゃ、俺に付き合ってもらおっかな」
…「…わぁ…かわいい…」
小さいミキは、見上げる様にしてその店を眺めていた。
「オルゴール館?」
視線を僕に移してミキが言う。
そう、ここはオルゴール館。
外観からして、いかにも女の子が好きそうなところだ。
中から同じ学校の女の子達が、キャハハと笑いながら出てくる。
少し照れたように、僕は言った。



