「んじゃ、俺先いくよっ!」
誠二はもう滑る準備万全だった。
「おう。俺らも後から行くわ」
…ミキの後ろから滑ろう。
僕は密かに決意していた。
「転んでデジカメ壊すなよ~」
「うっせぇな!早く行けって!」
はいはいと笑いながら、誠二は颯爽と滑り出した。
「デジカメって?」
ミキが僕に聞く。
「あぁ…いつでも写真撮れるように、ポッケに入れてるんだよ。…明日可に見せたいものは、全部撮ろうって決めてっから」
自分で言いながら少し照れた僕は、帽子を深く被りなおした。
「そっか…。明日可は幸せ者だね!」
ひひっと笑って、ミキは滑り出した。
突然滑り出したミキに僕は慌てたが、僕の心配は杞憂だったようだ。
…小さな体が、雪の上を軽やかに滑っていく。
水を得た魚の様に、ミキの滑りは綺麗で快活だった。
「うまいじゃん」
僕はふっと呟いて、ミキの後ろを追った。
僕は雪と風を感じながら、目の前を滑るミキは、自分のテリトリーを自由自在に行き来する小さな野ウサギみたいだと思った。



