「…明日可にとって、ミキはどんな存在?」
少し考えて、明日可は言った。
「…大切」
「大切?」
前を向いたまま、明日可は続ける。
「うん。大切な…大切な、存在」
穏やかな、笑顔だった。
…僕は、初めてミキに嫉妬した。
明日可にとってのミキ。
大切な、大切な存在。
きっと、2人の絆は僕なんかには到底わからない。
不機嫌さが顔に出ていたのか、明日可は僕の顔を見てふふっと笑った。
「…なんだよ」
「ん?シュウは聞かないの?あたしにとってのシュウは、どんな存在なのかって」
試す様な明日可の顔。
めちゃくちゃ聞きたかったが、ここは意地を張ってみた。
「…聞かないよ」
「ふぅん。じゃあ言わない」
…やっぱ聞けばよかった。
そんな僕の考えを見透かしている様な明日可の笑顔。
…ちくしょう。明日可にはかなわない。
「…いいからっ!宿題するぞっ」
「はいはい」
クスクスっと笑いながら、明日可はシャーペンを握った。



