初めて聞く明日可の過去に、僕は少し戸惑っていた。
僕が安穏と送っていた中学時代に、明日可はつらい思いをしていたのか。
胸が、チクリと痛む。
そんな僕とは裏腹に、明日可は笑いながら続けた。
「それまで大人しかったミキがね、凄いおしゃべりになったの。学校帰りに家に寄っては、その日あった話や面白い話をずっとしてて。もうあたしびっくりしちゃったよ。これがあのミキ!?って」
ふいに笑いを止めて、明日可は続けた。
「…ミキはミキなりに、あたしを元気づけようとしてくれてたんだよね。それに気付いた時…あたし、ほんとに嬉しかった。涙が出た。あんなちっちゃいミキに、あたしは生きる勇気をもらった」
ゆっくりと、大切そうに、明日可は呟いた。
「…ミキは、あたしの救世主だった。ミキがいたから、あたしは生きてこれたんだ」
原田の言葉が、ふいに僕の頭をよぎった。
『親友っていうの?』
僕は明日可に向かって口を開いた。



