「今はそうでもないけどね。あの頃からちっちゃくて、話しかけても返事するだけで…ほんと、弱い小動物みたいだった」
思い出したかのように、明日可はふふっと笑って言った。
「一緒にね、陸上部に入ったの。ミキ、あんな小さいのに凄い持久力あって、長距離の選手だったんだ。初めてのタイムトライアルで、次々と先輩を追い抜くミキ…凄いかっこよかった」
…ミキも陸上部だったんだ。
そう思ったが、口にはしなかった。
その後の明日可を、知っていたから。
「一緒の部活に入っても、相変わらず照れ屋で引っ込み思案で…。でも…あたしが病気になって離れていかなかったのは、ミキだけだったな」
少し寂しそうに笑い、明日可は続けた。
「…あたしが病気になってね、部活も続けれなくて、学校もあんま行けなくなって…一時期、凄い自暴自棄になってたの。親やお兄ちゃんに当たったり、家中のものめちゃくちゃにしたり…。そんな時、ずっと側にいてくれたのはミキだけだった」



