「そうだよねぇ。去年なんか、瀬堂さん殆ど学校来てなかったから、高野さん基本的1人だったし…。話しかけても、何か一線引かれちゃうんだよね」

ため息をつきながら、加賀が呟いた。

「ミキが?ありえねぇだろ。そんなミキ見たことねぇよ」

はっと有り得ないという風に笑う。
僕の中でのミキは、明るくて、少し生意気で、いつもニコニコしてるイメージだ。
一線引いて話すような子じゃない。

「それは、あんたが瀬堂さんの彼氏だからでしょ。高野さんにとって瀬堂さんは…なんか、特別なんだよ。親友っていうの?」

加賀が続けた。


「女の子の友情ってのはね、あんた達男みたいに単純なものじゃないんだよ?」


彼女たちの言葉を、僕たち男は半分も理解していなかったと思う。

例えばもし修学旅行にカズが来なかったとして、僕は確かにかなりショックだろうけど、そういう事を言っているんじゃないと思う。


…やっぱり僕たち男には、女の友情は難しい。

そんな事を考えながら、改めて明日可が来ないことを実感し、軽くため息をついた。