…水泳大会の日以来、明日可の噂があちこちでささやかれていた。

何の病気かは広まっていないが、おもしろ半分で聞いてくる奴もいる。
特に噂は、女子の間で広まっていた。


はっきり言って、そんな奴らとは関わり合いたくもなかった。

でも美波達は、そういうことは言わないし、変に明日可を特別扱いしない。

そういうところが、気に入っていた。


「でもさ、瀬堂さん来ないとなると、高野さんが可哀相だね」

同じ班の女子、原田が呟いた。
彼女も美波達と同じような性格だ。

それはさておき…。


「ミキ?」


高野とはミキの名字だ。
何でここでミキの名前が出るのか、僕にはわからなかった。

「だってさ、高野さんと瀬堂さんいっつも一緒じゃない?瀬堂さんが学校来てない時は、高野さん他の子とも喋ってるけど…深く付き合わないっていうか」

確かに、ミキが明日可以外の子と話しているのは見たことがない気がする。

僕が明日可に一目惚れした体育館でも、明日可が話していたのはミキだ。

2人は、いつも一緒にいるイメージだった。