「珍しいよな~。修ちゃんがイベントに興味持たないなんて」

頬杖をつきながら、誠二が言う。

「北海道だぜ?北海道!もっとテンション上げろよ~!」

タケが僕の肩を大げさに揺さぶった。
寝起きの頭にその揺れはキツい。

「…瀬堂が来れないからって落ち込むなよな~」

カズが意地悪そうな笑顔でボソッと呟いた。

一瞬顔が赤くなる。

「んな…っ、関係ねぇよっ!」

ははっとカズが笑った。
図星だから、これ以上何も言えない。


…修学旅行に、明日可は参加しなかった。

わかっていた事でもあった。
体のことも考えると、参加するのには無理がある。

わかっていたけど。

やっぱり、明日可がいないとなると、僕のテンションは低迷してしまうのだ。


「瀬堂さんって、須川の彼女でしょ?」
「旅行、行きたかっただろうね」

そう言ったのは、同じ班の女子、美波と加賀だ。

クラスの中ではまだ仲のいい女子。

明日可の病気の事を興味本位で突っ込んでこないところがいい。