コスモス



……………

サンサンと照る太陽の中、僕はようやくスーツを脱ぐことができた。
制服がこんなに恋しかったのは、きっと今日が最初で最後だろう。
軽くなった体と心で、待ち合わせ場所まで一気に走る。


…階段の手すりに寄りかかって、明日可は待っていた。
耳からはイヤホンが延びている。伏せた目が、頬に影を落とす。
僕が好きな明日可の雰囲気。
ずっと見ていたくなるんだ。


そっと後ろから近付いた僕は、明日可の耳からイヤホンを奪い取る。

びっくりした明日可は、思い切り振り返った。


「…aiko好きだね~」
「…なんだ…シュウ…。もうっ!かなりびっくりしたっ!」

ひひっと笑う僕と、ポコッと僕の胸を殴る明日可。
こんな何でもないようなやりとりが、僕は一番好きだ。

一番、幸せを感じる瞬間なんだ。


「…いこっか!」

明日可と目があう。
黒目がちの瞳が笑う。

「うんっ!」


僕等の文化祭が、始まった。