「…うん。ありがと」
そっと明日可が呟く。
泣きそうな顔をしてる気がして、僕は明日可を見つめることができなかった。
「…コスモスのギリシャ語の意味、何だか知ってる?」
ふいに明日可の明るい声がする。思わず明日可の方を向いてしまったが、その顔は泣いてなかった。
穏やかで、優しい笑顔だった。
「…宇宙って、意味なんだよ」
…あの日僕等は、確かに宇宙に立っていた。
一面のコスモス畑が、僕等のためだけの宇宙だった。
ちっぽけな宇宙に立つ、ちっぽけな二人。
でも僕は、それだけで満足だった。
夕日とコスモスと隣にいる明日可。
それだけで僕のピースは充分に足りていた。
…パズルは、一つでも欠けると完全しない。
今の僕は、出来損ないのパズルのままだ。
ピースが1つ、足りないままだ。



