コスモス



…そこは一面コスモスの世界。

秋風にゆられながら、コスモスは僕等を待ってくれていた。

満開の、コスモス畑だった。


「…なんか、胸がいっぱいだね」

明日可がポツリと呟く。

「…うん」

僕もそれに答える。

ゆっくりと、コスモスに近付いていく明日可。
秋風と一緒に、明日可の髪が揺れる。
その手がそっと、コスモスに触れた。

僕も明日可の側に座る。


「…センセーションダズラー」
「え?」

明日可がコスモスを見ながら言った。

「このコスモスの名前。一番一般的なコスモス」
「コスモスって、そんないっぱい種類あるんだ」

僕は素直に驚いた。
どれもこれも、コスモスはコスモスに見えていたからだ。

「沢山あるんだよ。チョコレートの香りがするチョコレートコスモスとか…まだ見たことないけど、冬に咲くコスモスもあるんだから」
「へぇ…詳しいな」
「だって好きなんだもん」

幸せそうな、明日可の表情。

連れてきて良かったと、心から思える瞬間。