コスモス




……………

消毒液の臭いがつんと鼻につく。
この臭いにももう慣れた。


「こらっ!廊下は走らないっ!」
「はいぃっ!」

看護師さんに怒られるのも、もう日常だ。
早歩きで、いつもの病室に向かう。

ガラッと勢いよくドアを開けた。


「まぁた怒られてる」


口元に手をあてて、くすっと笑う顔。

この顔も、もう日常だ。


「うるせぇよ」

ベッドの側の椅子をひく。
夏の日差しが眩しい病室。

「ね、成績表どうだったの?今日、終業式だったんでしょ?」

明日可が身を乗り出して聞いてきた。
僕は顔の前でピースサイン。

「ギリギリ赤点無し」
「じゃあ、補修も無しだねっ!」

ほっと笑顔を溢す明日可に、僕はニヤッと笑った。

「毎日来てやるよ」
「暇人だねぇ」
「どの口が言う、どの口がっ!」

ほっぺをつねる僕に、あははっと笑う明日可。

幸せな、瞬間。


「あっ、そうだった!今日は土産があるんだよ~」
「お土産?」

ガサガサとあさる僕と一緒に、カバンをのぞき込む明日可。

「これこれっ!」