コスモス


ヒロミはぽんっと僕の頭を叩いた。
僕は顔を上げる。

「焦んなくていいんだよ。ゆっくりでいい。側にいて安心できる…、瀬堂にとってそんな奴になれればいいんじゃないのか」

ヒロミの言葉を全て理解したわけじゃなかった。でも僕の心は、少しだけ軽くなった。


焦らなくていい。


「うん…。サンキュー、ヒロミ!」

ニカッと笑って僕は言った。

「先生と呼べっ!」

ヒロミも笑って、僕のおでこをつつく。

「宿題、ちゃんとやれよ」

そう言って、ヒロミは廊下を歩き出した。
僕も振り返り、教室へと走り出す。



…外は蝉の鳴き声で溢れている。

緑と青が、心に眩しい。



夏休みが、始まる。