初めて真剣に、ヒロミに話した。ヒロミになら言えると思ってた。

少し時間をおき、ヒロミもまた真剣に話し始めた。

「…なぁ須川。『守る』ってことは、そんなに簡単なことじゃないんだ。俺たち大人でさえ、大切なものを守り通すことは難しい。ちゃんとした職について、ある程度の生活力を持って…それでいてようやく大切な人と家族を幸せにできる」

ヒロミは僕の顔を見ながら続ける。

「でもな、そんな守り方は、お前が大人になってからでいいんだ。お前が大人になって、本当に大切な人と家族を持つ時に、そういう守り方をしてやればいい。守り方ってのは、きっと1つじゃない。その時その瞬間の守り方がある。…お前はまだガキだ。瀬堂の全てを守ろうなんて、到底無理な話しなんだ」

現実をつきつけられ、僕は俯いてしまった。
明日可を守るなんて、僕には無理なのか。

「お前は、お前の足場をちゃんと持て。自分が立ってる場所、描いてる未来をちゃんと持て。今のお前はそこから始めなきゃいけない。『守る』のは、それからだ。自分の足元がしっかりしてれば、自ずと『守り方』も見えてくる。…それが、強さの元になるんじゃないかな」