コスモス



……………

集中治療室の前には、明日可のおじさん、おばさん、担任、そして、あの雨の日に会った男性がいた。

明日可のお兄さんだ。

「…誠さん」

ミキが呟くと、彼は視線をこっちへ向ける。
ゆっくりと立ち上がり、ミキの前で止まった。

「…今、斉藤先生がみえた」
「そう…」

僕は、2人のやりとりをただ見ているだけだった。

そのまま、誰も口を開かない。
廊下の時計だけが、規則正しく進んでいた。



廊下の窓から、空が見える。

黒い雲が、地上近くに降りてきていた。

真っ黒な雲。今にも大量の雫を落としそうで、それはとても威圧的で。


近い、雲。



…神様。

明日可を、連れていかないで。






初めて雲に、恐怖を覚えた。