周りがざわついていた。
ゴールした他の選手も、地上でおこっている異変に気付く。
先生が、他の生徒を落ち着かせようとしていた。
おかしい。
全てがスローモーションだ。
視界の端に、タケが走ってくるのが見えた。
「修平っ!瀬堂さんが…っ」
飛び込み台の横からプールをのぞき込む様にして、タケは言った。
…明日可が?
「早くっ!」
僕はタケに引っ張り上げられて、プールから地上へと戻る。
僕から滴り落ちる水滴がプールサイドを濡らす。
タケは僕の前を走って戻っていった。
徐々に視界が開けてくる。
目の端に、明日可の顔が映った。
…明日可?
ふらついた足が、少しずつ早く動く。
明日可が、近付く。
「…あ…すか…」
保健室の先生が見えた。
体育の小野村先生が、明日可を抱きかかえる。
プールから出ていく保健室の先生と小野村先生の後ろから、泣き顔のミキが小走りでついていく。
なにが、おこってるんだ?
…僕はその場に、呆然と立ち尽くしたままだった。



