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水を必死にかく。
息継ぎをする度に、声援が耳につく。
水音と声援の、繰り返し。
…確かな手応えがあった。
ラスト、息継ぎをせずにストロークを早める。
ゴポゴポという水音だけが、耳奥まで聞こえた。
―パシャァンッ
勢いよく顔を上げた。
後ろで、ストロークによる水音が響く。
…断トツで1位だ。
瞬間的に、明日可達の方を見た。
そのまま、僕の思考回路は遮断される。
…カズが誰かを支えていた。
先生が邪魔で、それが誰だか見えない。
その代わり、ヒロミが携帯で必死に電話をかけてるのが見えた。
膝をつくミキの顔が、歪んでいる。
音のなかった耳に、ミキの叫び声が聞こえた。
「明日可っ!」
…なにが、おこってるんだ?
次々と、選手達がゴールする中、僕は状況が理解できないでいた。
カズと目が合う。
呆然とした表情。
…心臓がドクンと跳ねるのが、はっきりとわかった。



