明日可の口元がゆっくり動いた。 『が・ん・ば・っ・て』 目を合わせる。 もう一度、明日可が微笑む。 僕は朝作ったガッツポーズを、胸元で小さく作ってみせた。 『位置について』 マイクの機械的な音が響く。 ドクンと心臓が鳴った。 飛び込み台のギリギリの所まで体を乗り出す。 『用意』 プールの水が近くなる。 揺れる水面。 タイミングをはかる。 ―パァンッ 一瞬火薬の匂いが鼻についたが、それはすぐに水によってかき消された。 水の揺れる音が、僕の耳に響いた。