「体育館で、目があった子だよね?」
「え?」
「ほら、あなたが怒られてた日、始業式」
「あぁ…」
「あの日も、妙にテンパってた」
クスクスと笑いながら、彼女はあの日の出来事をサラッと言った。
僕が何度も何度も思い出していたあの日。
目があった。
自意識過剰じゃなかった。
それだけで、どん底まで沈んでいたテンションは急上昇した。
「え、まじ?テ…テンパってた?」
「うん。前に行った後も直立不動で。もーおかしくて笑いこらえるの大変だったんだよ」
「ああ…」
彼女の可愛らしい笑顔を見ながら、肩の力が抜けるのがわかる。
笑いの対象かよ…。
まぁいい。
彼女の印象に残れた。
それだけで、万々歳だ。
あの日のヒロミの一撃にさえも感謝したいくらいだ。



