サッカー部のみなさんは、ぞろぞろと写真を撮る体制になっていく。
そしてひーちゃんはというと、見事に宝賀くんの隣をゲットしていた!ふふっ、ひーちゃん顔赤いよ。
こんなひーちゃん可愛すぎ。よーし、もうちょっと意地悪しちゃおう。
「ひーちゃんと宝賀くんのところ、距離あるからもうちょっと近づいてよー!」
「あ、麻帆っ」
「ほらっ、みんな準備万端なんだから早く♪」
そうだぞーと他サッカー部員のブーイングを受けながら、渋々距離を縮めた二人。
あたしはニヤニヤする顔を隠しながら、レンズ越しに二人を見た。
うん、この距離がいい。きっと宝賀くんもドキドキしちゃってるよ。
そんな二人を見て、少しだけ羨ましくなった。
あたしも、荒ちゃんと撮りたかったって思っちゃったから。
「はい、撮りますよー!」
カシャッ
やっぱり、寂しさは残っていた。
どんなに楽しいと思っても、カップルの姿を見ると、どの場面でも荒ちゃんの顔が浮かんできた。
無理だとわかっているのに、胸の痛みは収まらなかった。


