そう思いながら、何気なく前方を見た。
……おい、嘘だろ?
なんと、麻帆がいたのだ。思わず口元が緩み、慌てて手で隠す。
俺には気づいちゃいないけど、あれは間違いなく麻帆だ。本物の麻帆じゃんかよ。
やべぇ、話しかけたい。こんな偶然って滅多にねーだろ?それにアイツの驚く顔も見てみたいし。
「荒嶋、突っ立ってないで早く行けよ」
しかし、そんな俺の気持ちを知らないクラスメートから歩くように言われ、麻帆の姿を目に焼き付けてその場を過ぎた。
「……笹田のアホ!」
「何!?俺何かした?」
した。俺の素敵な時間ぶち壊したじゃねーか!と心の中で反論。
そして俺の席についたが、麻帆の席までははるか遠い。くっそー、さっきのがチャンスだったか。


