「………情けねー」
情けなくなんかないよ。今まで見てきた中の春貴で、今の春貴が一番カッコいいよ。
あたしは春貴の背中を優しく叩いた。頭を撫でたら、さっきのお姉ちゃんからの感触を忘れちゃうだろうって思ったの。
「麻帆に慰められるって嫌だー」
「つべこべ言わない!」
「なぁ、麻帆…」
「何?」
「告るのがもう少し早かったら、優帆さんの気持ちは俺に傾いていたと思う?」
カラスの声が遠くに聞こえる。同時に車の交わる音も微かに聞こえてくる。
「俺はさ、やっぱり今日と同じ言葉を返されちゃうって思うんだ」
体勢はさっきのまま。だけど、肩にかかる圧力が強くなった気がする。
「ヤンキー彼氏より先に告っていたとしても、優帆さんにはただの幼なじみの男の子としか見られてなかったんだよな」


