「麻帆、肩…貸してくんね?」
「今日だけは特別許してやるよ」
「……偉そうに言いやがって」
「感謝してよね?」
ゆっくりとあたしの右肩に重みがかかる。ちょっぴりだけど胸の高鳴りが速まっていく。
「………っ」
そして、春貴の肩が震え出した。耳からじわじわと切なさが伝わってくる。
「………俺だって好きなのに…絶対に、ヤンキー彼氏にも負けないくらい好きなのに…」
ずっとお姉ちゃんを想い続けていた春貴。バカみたいに…いや、バカ以上に一途に。
何度も冗談も交えて冷やかしていたけど、そんなあたし自身を惨めに思ってしまうのはなぜだろう。
一生懸命な春貴を笑っていた自分が、臆病なくせに何もできない自分が…恥ずかしくなった。


